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それでもまだ、指輪は外せないでいた。
戻れないなら、なおちゃんとの記憶なんて全部消えてしまえばいいのに
そう思った。
戻れないのに忘れられない
それがとにかく辛かった。
なんか、ひどく辛い経験をすると、その部分だけ記憶がなくなることがあるって言うじゃない?
そうなればいいのに、って、いつも思ってた。
なおちゃんの記憶、消して欲しいって。
シゲが持ってきた新たな出会いの話も
ママ友が持ってきた紹介の話も
職場の営業の男の子がセッティングしてくれた合コンも
すべてうまくいかなかった。
好きになってくれて、付き合うことになっても
気持ちが盛り上がらず
アタシから別れを告げた。
こんなことしてちゃいけない。
もしかしたらなおちゃんが戻ってきてくれるかもしれないのに。
そんなふうに思えて、どうしても新しい恋愛に集中できずにいた。
もしかしたらなおちゃんはホントに戻ってこなくて、アタシはもう、このままずっと一人なのかも知れない
そう思っても、
やっぱり新しい恋愛は出来ずにいた。
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