13人が本棚に入れています
本棚に追加
母さんの葬式にはたくさんの教え子たちが来ていた。
担任していた高校生から、俺よりも歳上の人までたくさん。
「あ、あなたが栄太郎くん?」
「お、リアル栄太郎だ」
母さんは職場でも俺のことを話していたみたいで、みんな俺に話しかけてきた。
母さんの知り合いなんて俺は誰も知らなかったけれど、その誰もが俺のことを知っていて、何だか不思議な気分だった。
一人になった不安と慣れない葬式で緊張していたけれど、それで一気に気が緩んで、そうしたら涙が止まらなくなった。
「泣くなよ栄太郎」
「もう、泣かないでよ栄太郎くん」
俺は教え子たちに混ざってみんなで一緒にわんわん泣いた。
「よし、二次会行くぞ、栄太郎!」
誰かに言われて、俺は葬式の片付けを親戚に任せて、母さんの教え子たちとカラオケに行った。
喪服の二次会なんて珍しいから、カラオケの店員たちはびっくりしていたけれど。
喪服がハイビスカス柄なら良かったのになあ。そっちの方が母さんらしいや。
相変わらず、道行く人に変顔&通り抜けられをして遊ぶ母さんを見ながらそう思った。
最初のコメントを投稿しよう!