真実と愛

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「美鈴は今日は色々ありましたが大丈夫ですか?」 いつも気遣ってくれる過保護なほどに、今日はあの時の男性が彼だったと解った目頭が熱くなり視界がぼやけそうになりながら美鈴は言った。 「迎えに来てくれたんですね、約束通りに。」 「ええ。」 そう言うと彼は流れ落ちる涙を唇でそっと拭い去ると泣かないでと抱きしめながらそっと唇を合わせてから耳元で囁いた。 「美鈴、僕は貴女が全てなんですこの先は貴女が許すまでまちます。愛してますずっと前から。」 「はい。私も貴方を愛してます。」 美鈴の言葉を聞いた彼は次は奪うようなキスをした。怖いとは思わない心が満たされるような感覚に襲われた美鈴は鷹崎のなすがままに身を委ねた大きな手が頭を固定し少し開いた口元から入ってきた舌は歯列をなぞり刺激してくる自然と舌が絡み合い体の力が抜けそうになった頃にリップ音を立てて彼の唇が離れた。 力の抜けた美鈴の体を支えながら自分の胸元に彼女を抱きしめながら。 「これ以上はやめておきます、我慢できなくなりそうですから。」 彼は、抱きしめる手は緩めずにあともう少しこのままでいさせて下さいと囁く様に言った 。 シトラスの香と彼の温もりに包まれて自分を抱きしめるこの腕を離したくないと思う。 「私ももう少しこのままがいいです。」 そう可愛く言う彼女を愛しくてこのまま連れ去って誰にも会わせず部屋に籠りたい衝動を必死に抑える。ここで焦ればすべてが壊れる リスクを負うつもりはない、もう少し彼女を感じさせてくれれば今はいい。 二人の時間はこれからいくらでもあるのですから。
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