暗躍するのは・・

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暗躍するのは・・

 コンコン。 ノックのあと部屋に入ってきたのは結城沙耶香だった。 「失礼します鷹崎専務。」 本人と一部の人間は好むのだろう甘い匂いを纏いながら彼女は得意げな顔で契約書ですと手渡してきた。 「何故君が?私には専属秘書がいるはずだが。」 「やはり彼女に依頼なさっていたのですね?彼女が忘れていたようなのでご用意しておきました。」 無表情のままで鷹崎は書類から彼女に視線を移した。 「完璧な契約書ですね、しかも翻訳まで貴女が仕上げたのですか?」 彼女はどう言うか? それは楽しみなことの一つで自分が仕上げたというかどうなのか意地悪い顔をしていると自覚しながら話をすすめた。 「いいえ、私は他の仕事を抱えていたので、営業企画の町田チーフに依頼して彼女が仕上げて朝持ってきてくれました。」 自分が気が付く秘書であり社内の有能な人物とのコミュニケーション能力も高いということを言いたいといったところか。 「そうですか、貴女が契約書に気が付いて付箋の指示通りに修正して翻訳するように、町田チーフに依頼したということで間違いはないですか?」 鷹崎は眼鏡のブリッジを片手で押し上げながら念をおすように言った。 「間違いないです。」 彼女の答えを聞いてすぐに鷹崎は本来の専属秘書のあまり使わない内線をプッシュした。 「鷹崎です、営業企画課の町田チーフと一緒にすぐに来てください。」 「承りました。」 相変わらず元気なこえで佐伯加奈子は答えた。
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