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「まあ、落ち着こうね。千秋さん諏訪君呼んでね。」
後ろにいた千秋に指示すると相川は専務室の応接セットに座った。
「うんとね、町田チーフは会社からすれば虚偽の報告をしたわけだよ。結城さんは自分を売り込みたいのはわかるけどコンプライアンス違反だよ。越権行為??」
鷹崎専務はつかさず難しい顔をして
「コンプライアンス違反は諏訪部長で彼女は知らずに使われただけだからね何とも言えないが、問題行動ではある。知らない言葉を使うな!」
怒り冷めやらない加奈子は顔を真っ赤にしている。
「あのさ、この部屋の会話は録音しているからすべて証拠として使えるからね。ああ使える?」
呑気に聞いてくる相川に
「部屋のドアに録音中という札かけてあっただろ?使えるよ。」
鷹崎はなんでもないように答えた。
「秘書室は基本機密が多いから結城さんは秘書室から別の場所に移動ね町田さんは総務が資料整理に人員がいるらしいからこそに移動。以上。」
その場で相川は社長の顔をして有無を言わせず言い切った。
それでも黙っていないのが、町田春香だった。
「横暴です!部下に指示して仕事をさせただけで、こんなことって。」
「横暴ねぇ。専務は、君を異動とか可愛い処遇で終わらせないし、どうするかねぇ。」
「中国にでも飛んでもらいましょうか?香港とかではないですよかなり田舎ですがお茶畑の管理なんてどうです?」
町田は鷹崎を睨み据えると彼が嘘でなく本気で中国や海外の僻地に飛ばそうとしていると感じた。
「わかりました。申し訳ないです。」
そういって町田は部屋を急ぎ早に出て行った。
入れ替わりに入ってきたのは諏訪。
「ああ忙しいね~いっきに終わらせましょうか。ああ結城さんは席を外してください。」
結城沙耶香は諏訪に何か言いたそうにしたが相川の言う通りに部屋をでた。
諏訪は緊張していた。
社長と専務が自分を呼び出したこと、部屋を出て行った結城沙耶香の憔悴した眼差しは自分の浅い計画が上手くいかなかったのを示している。
全てを話して協力を仰ぐか、この場を切り抜けるかを一瞬だけ悩んだがこの二人を出し抜く手腕は自分にない。
覚悟を決めるしかないと諏訪は思った。
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