拗らせ専務は溺愛したい

魔王降臨か

加奈子は大輔をカフェに呼び出したが大輔はまだきていなかった。

大輔も姉の事件は詳しく知っているし今回の報告は大輔にはするべきだと

加奈子は判断した。

カフェの出来るだけ奥の人目に付きにくい席で加奈子は大輔を待っていた。

大輔からは遅れるというラインが少し前に入ったところだ。

三十分ほどして、いつになくソワソワとしながら待つ加奈子を見つけると大輔

は大きな体を心なし小さくしながら加奈子の前に座った。

「遅れてごめん。待ったよな。」

「待った。」

「そこは、待ってないよとか言わないのか。」

いつもの軽快な会話が加奈子の緊張した気持ちをほぐしていく。

「あのさ大ちゃん、犯人捕まったよ。」

何のとは聞かない。

「やっとか、これからだな裁判とかあるだろうし。」

当然そうなるよね、捕まった＝警察だよね。

「鷹崎さんの友人？が捕まえたらしい。」

「友人？警察じゃないとなると。」

「そうなんだよね、でもさあの男は同じようなことをしたらしいの。」

怪訝な顔をしながら大輔は聞いている。

「同じことって、姉ちゃんの時と同じか？」

「今回は監禁だったらしい。」

コーヒーとラテを店員さんに頼んでから小声で話した。

「うちの業務提携していた会社の社長が薬を使われて記憶をなくしていてお金を借りていたとか、それでうちと業務提携契約を後々解消すべく都合のいい契約を結ぼうとしていたみたいだけど、難しいことはわかんないけど
その会社を鷹崎さんが買収したらしいの。」

そこからどうやって犯人を捕まえるに至ったかが大輔には解らない。

「加奈子、鷹崎さんとアポ取れる？」

「ああ取れると思う。」

「加奈子じゃわかんないからさ、鷹崎さんに聞くわ。」

加奈子がアプリからメッセージを送るとすぐに返信がきた。

「料亭　紫陽花に7時って。」

二人はタクシーに乗り込み指定された店に向かった。

料亭紫陽花はさすがに落ち着いた佇まいで奥の座敷に通された。

女将が襖を開けるとすでに鷹崎は到着していて、もう一人見たことがない男性が座っていた。

その男は鋭利な目をしているが整った顔をしていて中華風の服を着ていた。

黒い服には銀色の糸で龍の刺繍が施されていて、長い髪を横に束ねていた。

「紹介しておこうか、この方は王(ワン)さんだ。」

鷹崎は彼を私たちに紹介すると彼は

「ワン・リーレンです。」

と以外に優しい笑顔で名乗ってくれた。