魔王降臨か

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ワンさんは事件についてを丁寧に説明してくれた。 「あの男は日本の警察では裁けません。裁けない人がいることは結城さん貴方のお父さんがよくご存じかと。またここにいる鷹崎もよく知ってる。五年前彼はお金の為に佐伯夫婦を部下に事故に見せかけ殺害した。その 証拠は事件にできるほどはは無かったのは彼がプロだからです。そして薬の研究をしていた佐伯雄介博士はデーターを研究所に置いていなかった。場所を特定できなかった奴は佐伯博士の兄に近づいてそそのかして成人している姉の美鈴さんが邪魔だった。彼女さえいなければ後見人になれて財産の管理が出来るとね。」 加奈子は怒りで震えていた。 大輔もまた静かだが眉間にしわをよせている。 「そんなことで両親は殺されて、姉は攫われて売られかけたんですか?」 「許せない。」 大輔の口から聞いたことが無いような低い声だった。 「許せない、加奈子も美鈴さんも五年も苦しんでいたんです。なのに。」 大輔はこの目の前に座る男達ならもう少し早く奴を捕まえられなかったのか。 「大ちゃん、両親の事件も姉の事件も今回も同じ人間が一人でやったこと ではないんじゃないかな?すごく複雑かも?」 加奈子はついさっきまで怒りに震えていて感情的になっていたが、大輔の声で 冷静になった。 「加奈子?」 「大ちゃんこの二人が五年も何も動かなかったとは思えないし犯人もいままで動いていなくてまた動いたのも偶然じゃないと思わない?」 偶然はないとワンは言った。 「この事件の犯人が君たちに関係している事だけ話すよ。」 「海叶が作ったサイトが光なら、闇サイトもあるのはわかるかな?」 鷹崎はここで初めて口を開いた 「闇サイトと言ってもいくつかある。素人遊びに近いものも多い、犯人は辰巳という人物で権力者の弱みを握り権力を操って依頼を遂行する為なら手段も選ばない奴なんだ。」 犯人は捕まった。 今はそれだけでいい、自分が知っても何か出来る訳じゃないから出来る人間に任せるのが一番だと加奈子は思うことにした。 両親を殺害した犯人の主犯は彼らに捕まった。 これ以上深く知ることはないと判断した。 そんなことを考えながら目の前の二人を改めてみると、趣の違う美男というべき二人が並んでいる。 ワンと鷹崎はどういう関係なのか少しかじった腐女子の自分が好奇心をおさえられなくなった。 「お二人の出会いは?」 それを察した大輔は焦った声で 「加奈子!またお前こんな話の最中に変な妄想しただろう?」 窘めるように大輔は声をあげたがすでに遅く目の前の二人はキョトンとしている。 「だって、想像するわよしない?」 大輔はお前は馬鹿かという顔をして 「しないよ!」と答えた。 おおかた察したように話し出したのはワンだった。 「俺の妻もよくたぶん同じような理解不能の世界の想像をしますからね、少し解った自分が嫌ですが、女性のその世界の趣味はしっていますよ。期待には応えられないけど鷹崎弁護士に訴えられて負けて仲良くなったということですかね。」 年齢不詳という感じのワンは笑いながら答えた。 鷹崎はなんとなく理解したような苦虫を嚙み潰したよう顔をしている。 「変な想像はしないでください。」と鷹崎は、本当に嫌そう言ったがそんな彼を尻目に 「誤解しないでくださいね、駆け出しと聞いていた弁護士の手腕に惚れたんですよ。だからこそ仕事の依頼を彼に何度かお願いして全勝で口説き落としてコンサルタントとして迎え入れたんです。」 「誤解されますよ。海叶の件と自分の未来の為に手を結んだんです。五年間は二足の草鞋状態でしたけどね。」 「まあそうでしたね。でも弁護士よりこちらの世界のほうが楽しそうにしていましたよね。」 こちらの世界とは、経済界の世界なんだろう。 「華僑の王グループ総裁ですよね、ワンさん。」 大輔はワンの目を真っ直ぐにみて言った。 「ご存じですか?貴方は確か税理士さんでしたね、まあその通りですよ。」 有名巨大グループ企業で全世界に広がる会社の総裁、この人が? 見た感じは年齢不詳だけど若いのは確かだろう。 「君が思っている通りです、我々にも秩序があります。私は表も裏もどちらの総裁でもありますからね、心配しなくても鷹崎は表の人間です。」
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