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覚悟
「話したいこと、聞きたいことがあるんだろう?」
鷹崎は大輔に言った。
「はい。」
思いつめた顔をして答えた大輔に行きつけのバーに行こうと鷹崎は誘った。
車をコインパーキングに停めて少し歩いたビルの中にそのバーはあった。
「おっ珍しい若いのが一緒か」
バーのマスターはそういうと黙って店の外に札をだした。
「いいのか?」
そういう鷹崎にマスターは込み入った話なんだろう?と言って注文はと聞いてきた。
「ウイスキーでいいよ。」
君は?とマスターは聞いてきたから
「同じで。」
と大輔は答えた。
「高い酒でもいいんだよ、鷹崎は飲むよ~ザルだよ。」
そういって笑いながら丸い氷にウイスキーを注いで出してくれた。
「鷹崎さん、どこまで知っているんですか?」
鷹崎はグラスを傾けながら答えた。
「多分、全部しってるよ。」
結城大輔の叔父が製薬会社の研究員で結果を求められて、同じ研究をしていた佐伯博士の研究結果を手に入れたいと闇サイトの男に依頼したこと。
その為に佐伯夫妻が殺害されて、研究結果の一部が結城大輔の叔父に渡っていたこと。その叔父が報酬として麻薬の制作に協力していたこと。
自分に目が向かないように、兄弟仲の悪かった佐伯博士の兄を叔父がそそのかしたこと。
「そこまでご存じだったのですね。結城沙耶香は監視の為に?」
大輔はずっと疑問に思っていたことだった。
「ライトコーポレーションが成長して経済紙やマスコミからの依頼があったとき、天才経営者 相川聡って報道されただろ?」
クスクス笑いながら鷹崎はいう。
「はい、結構大がかりに報道されましたよね。」
「その時には、佐伯 美鈴はうちにアルバイトでいたんだよ。美鈴が少しだけ
画面に映りこんだみたいでね、創業メンバーはうんたらとか言った時にね。」
相川はニュース特集でフロアーを紹介したとき少しだけ美鈴が映ったのを結城沙耶香がみていた。特殊な才能のメンバーばかりだと相川が紹介している中に美鈴がいた。
「それで沙耶香はライトコーポレーションを受けたんですね。」
「採用しなくてもよかったんだが、美鈴に対する対抗心が強いみたいだったし何かされても困るからね、手元に置いておけば監視できるだろう?」
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