魔女がやってきた

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加奈子からのお願いは断れないわよね。 そう思いながら美鈴は、お客様を迎えにロビーへ向かった。 そこには、相川社長がキッチリスーツを着て髪もセットして立っていた。 千秋が美鈴に手を振って呼んでくれた。 「美鈴さんごめんね~急で。」 「いいえ。いつも加奈子がお世話になってます。」 「いえいえ。あっでも、もう来られると思うからお願いね。」 話ていると、「HANA」のロゴが書かれたシャツをきた集団が入ってきた。 数人のモデルらしき男女は日本人ではなく、英語で会話している。 カメラマンがフランス人でフランス語のみらしく、メイクさんや衣装担当は日本人だった。 「サトちゃ~んごきげんよう。」 その中でも存在感のある女性が相川にいきなりハグをした。 「花さんごきげんようじゃないよ。」 ジタバタしている様子は子供のようで昔からの知り合いのようだった。 「うちの息子は?」 うちの息子? 「鷹崎は逃げましたよ。この方は鷹崎専務のお母さんで花さん。」 鷹崎専務のお母さんといえば専務の歳を考えると、還暦を過ぎているはず。 「美魔女」 千秋さんがつい小声でつぶやいたが、美鈴も同じことを思った。 「花です、よろしくね。」 そう笑って年齢を感じさせない可憐な容姿で鷹崎専務には似ていないような。 「さて時間がないから撮影いくわよ。通訳さんはどなた?」 挨拶もそこそこに、テキパキとスタッフは撮影準備に入っている。 「私です、佐伯美鈴と申します。」 「ミレイちゃんね、カメラマンのアランよ。」 美鈴はアランとフランス語で挨拶をした。 『ミレイは発音綺麗だね。』 『ありがとうございます。』 「さあ、ロビーで撮ってから中庭と階段かな。」 テキパキと指示をして撮影が始まった。 美鈴はアランの言葉を英語に訳してモデルに伝えていく。 「花さん一人モデルが渋滞で間に合わないって連絡があったんですけど どうしますか?」 「だれ?」 「ソフィアです、スーツ3着とドレス1着ですね。」 スタッフの報告を聞いて 「今いる子じゃ無理だね~身長が合わない。」 花はアランの横にいるにいる美鈴をジッとみたと思うとツカツカと歩いてきて、美鈴を触りだした。 「サトちゃん、ミレイちゃん借りていい?この子ならサイズピッタリだし化粧で自分殺しているような感じだけど、素材はいいし。スタイルもいい。」 何が起こっているのか解らない美鈴は固まってしまった。 「花ちゃん~いいけど後で息子さんに説明してよ。」 返事を聞いた花はメイクとスタイリストを呼んで指示をだして、美鈴はドナドナ連行された。
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