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「あの、私なんかで大丈夫ですか?」
真面目に聞く美鈴にメイク担当者は
「私なんかで大丈夫です!貴女メイクって綺麗に見せる為にあるのに貴女のメイクはブスになる為のメイクになってるわよ。」
衣装を持ってきたスタイリストも
「スタイルも身長もあるのに、野暮ったい感じの服なんて着てもったいない自分を知った方がいいわ。」
あれよあれよと着替えとメイクと髪をセットされて鏡も見る間もなく控室から引きずり出された。
履いたことのないようなヒールの高さ。
「姿勢も歩き方もいいわね。」
満足げな花はカメラの前まで引きずっていった。
『ミレイ?本当に綺麗だね。さあショータイムいくよ!!』
アランはノリノリでシャッターを切る。
最初は緊張していた美鈴を笑わしたり、質問して答えさせたりして写真を撮る。横で花が満足げに頷いていた。
「サトちゃん、あの子モデルにならないかしら?」
本気で考えている花に
「ならないでしょう。まああの子は諦めてよ。」
既に社員のギャラリーが出来ている。
囁かれる声は驚嘆と賛美といったところだ。
ボーっと見惚れる男性社員もいる。
最後のイブニングドレスは圧巻の着こなしで美鈴は姿を見せた。
黒い光沢のあるシルクのドレスはサイドに大きくスリットが入っているデザインシンプルだからこそ着こなしが難しい。
「ロバートと一緒に。」
花がそういうとロバートは黒みがかったシルバーのパーティ用のスーツを着て美鈴の横にたった。
「美鈴ちゃん綺麗だし今フリー?この後時間あるなら。」
笑顔で美鈴の耳もとでロバートは囁いた。
「あ。あっ・・。」
美鈴の体が震えだし痙攣をおこしていた。
何がなんだかわからないロバートは倒れないように抱いているが余計に震える美鈴。
「どけ!」
ロバートから奪うように美鈴を抱き上げたのは「鷹崎!救急車呼ぶか?」相川はスマホを取り出し叫ぶ。
鷹崎が悩んでいると
「ダメよ!姉さんサイレン駄目だから。」
加奈子も駆けつけてきていた。
「大丈夫だ、大丈夫だ、美鈴。」
そういいながら控室へ鷹崎は美鈴を運び込んだ。
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