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魔女VS鷹崎専務
「どういうことですか?説明してください。」
社長室か専務室かと聞く相川に鷹崎は会議室を用意するように言った。
椅子に座る花に息子とは思えないほどの冷たい声で鷹崎は問いかけた。
「ソフィアが渋滞で遅れるって連絡があって、連れてきていたモデルではスーツはともかくイブニングのサイズが合わなかったから。」
仕方なかったのよと花は説明した
「彼女はモデルではないのですよ。ストレスになるとは思わなかったのですか?」
まるで尋問のような問いかけに花はイライラしてくる。
「女の子が綺麗にしてもらってストレスになんてならないでしょう?それにあんな綺麗な子が地味な恰好しているなんて罪だわ!!サトちゃんには許可を得たし彼女も断らなかったわ。」
捲し立てる花に鷹崎は冷静だった。
「貴女の価値観でしょう?それに貴女は経営者ではないはず、デザイナーでしょう?」
「デザイナーだからこそイメージが大事でしょう!」
「イメージなら依頼したモデルで作製したイブニングを、素人に着せるのはどうなんですか?」
「イメージモデル以上だったのよ。」
花は会議室に来る前にアランから写真を預かっていた。
「倒れる前の写真だけど、これを見ても私を責めるかしら?」
エスコートされた美鈴は笑ってはいない、それでも彼女の容姿が際立って黒のイブニングが映えていた。
女神のように毅然とした美鈴は商品のイメージとあっていてこのまま使いたいと花は言う。
「いいえ、気に入りませんね。」
何が気に入らないの、誰が見てもクールビューティーなのに。
「気に入りません!隣の男が気に入らないです。」
ガタッと相川は椅子から落ちそうになった。
「お前そこかよ!」
この男は彼女がかかわると判断が偏るんだよな。
彼女じゃなかったらそのまま進めてモデル変更なんていうのにも口も出さないだろうに。
「イブニングはソフィアで撮りなおしてください。」
決定事項ですと言い切ってから、美鈴の写真はとりあえずデーターを自分のアドレスに送るように鷹崎は言った。
「そのソフィアなんだけど、貴方に会いたがっていて今日は貴方が来ないと言ったら拗ねて遅刻してきたのよ。だから恋する女の子を慰めてあげてくれないかしら?」
そうでないといい写真が撮れないとか言い出した花に
「でしたら別のモデルを起用してください。美鈴さんはダメですよ。」
険悪なムードを壊すように相川が爆弾をおとした。
「美鈴ちゃんにお願いして~鷹崎と一緒に撮ればいいんじゃない?ほら今日の男性モデルもさ美鈴ちゃんと並ぶと身長がギリだし、鷹崎はあのモデルより身長あるし意外にいいと思わない?」
相川の提案は双方に魅力的だった。
それよ!それがいいと無邪気に喜ぶ花さん。
「美鈴さんがいいと言うなら・・。」
息子が顔を真っ赤にして答える様子を花は突っ込まなかった。
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