魔女VS鷹崎専務

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会議室での攻防を知らない控室では加奈子はまだ朦朧としている姉を診察 している医師が大丈夫だというのを聞いて安心していた。 千秋は社長室に常備してある毛布を持ってきて美鈴にかけた。 ジャケットをそのままにしたのは美鈴が無意識に掴んでいたからで、微笑ましいような焦れた気持ちになっていた。 千秋はおおまかなことを相川から聞いていたが、策略家でなんでもこなす鷹崎が恋愛においてはまったく使えない男だと感じる。 今回の撮影で美鈴の美貌は周知されてしまった状況で、このまま男どもが放置するわけはない。実際にあのモデルも耳元で囁いた言葉なんて想像がつく。 「加奈子ちゃん少し休みましょうか。」 加奈子は姉の様子を確認して、穏やかに息をして眠っているのを確認すると控室に備えられているソファーに座った。 暖かい甘いコーヒーを千秋は手渡しながら自分も座った。 「加奈子ちゃん少し聞いていい?私はすごくイライラしてるのよ。」 本当にイライラしている様子で千秋は続けた 「鷹崎専務は彼女のこと昔から好きなのよ、でも今回のことで美鈴さんに声をかける男が増えると思うの。」 だからね~と千秋は続けた。加奈子が鷹崎と姉が付き合うのをどう思うかとか美鈴は知られていないだけで好きな人がいるのかと質問してはメモしていた。 「姉には幸せになって欲しいって思っています。それが鷹崎専務でも違っても私はいいと思います。ただ姉を理解してくれる人ならいいんです。」 加奈子の偽りのない本音だった。 姉を愛してくれて、幸せにしてくれる人ならいい。 ただ姉が受け入れることが条件でもあった。 「姉は軽い男性恐怖症もあります、今回みたいな発作は稀ですけど特定の見知った男性以外は怖いみたいです。」 寝ている姉を振り返り見ながら加奈子は続けた 「でも、今日専務が姉を介抱してくれていた時思ったんです。前は発作が続き熱がでました。あんな風に穏やかに眠ることもなく、うなされていたんです。だから・・」 加奈子は千秋を見つめて、鷹崎を信じると言い切った。 千秋は「協力するわ。」と笑顔で答え鷹崎の恋愛サポートをどうするかを考えることに終始していた。 「仕事は完璧で容姿も完璧なのに、恋愛偏差値がないなんてね~美鈴さんも恋愛奥手っぽいしね。まわりがなんとかしないとダメよね。」 千秋と加奈子は今後の二人をどうするかと話し合った。 「相川も使えない男だから、加奈子ちゃん彼氏とお姉さん誘ってダブルデートしてきたらいいよ。水族館のレポートお願いするわ。」 千秋はいいことを思いついたとタブレットを操作して専務の予定表に水族館視察といれた。  その夜は美鈴が目覚めないから、大輔を呼び出して美鈴をマンションに連れて帰ることにした。 千秋はそこでも専務に送らせたらといったが専務も会議室から出てこないから仕方なく断念したようだった。
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