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目を開けると見知った天井で、華やかな服をきたり化粧したりしたのは
夢だったのかと思った。
「これ!」
ハンガーにかかっている男物のスーツのジャケットが夢でないことを語っている。ゆっくり起き上がってジャケットに近づくと微かな香りが温かい手を思い出して美鈴は顔を赤くした。
大丈夫だと言う声が聞こえたときに本当に大丈夫だと思えたから不思議だった。
一体何時間眠っていたのか、時計は朝の五時だったからシャワーをしてから朝食の用意をすることにした。
起きてきた加奈子に何をしてるのよと怒られたが気分は良くて仕事にいくことにした。いつもより明るい化粧をして出かけることにする。
加奈子は大丈夫なのかと心配していたが美鈴は元気だったからいつものように自分のデスクについた。
周りが少し騒がしいとは思ったが気にしないようにして仕事に集中した。
隣に座る井川君も仕事中は私語を嫌う美鈴にならい何も言わない。
ランチ休憩の時に待ってましたと言わんばかりに井川は
「佐伯さん、ランチに行くなら僕もいきます。多分食堂は大変なことになるかと思いますから。」
鼻息あらく井川は一緒に食堂へと誘ってきた。断る理由もないし、可愛い後輩と一緒に楽しい時間を過ごすことにした。
食堂につくと、井川は率先して席をとってくれた。
何やら周りからの視線を感じるが何かと思いながら持ってきたお弁当を食べていたら、加奈子と千秋がやってきて四人で雑談しながらお昼を終えた。
井川は何か言いたそうにしたが、千秋が牽制していたことを美鈴は気が付かない。
「ほら~言わないことはない。声をかけようと身構えてる男何人いたのよ。」
千秋はブツブツいいながら加奈子に早くなんとかしないとダメよねと囁いた。
女性陣はすでに昨日の姿をみて戦意喪失しているようで、動きはない。
「井川にも釘をささないといけないわね。」
井川が何かを言いたそうにしていることを察していた千秋は情報収集する事を決めた。
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