激震

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「何故私が?」 鷹崎専務の専属秘書の内示をうけた加奈子は唖然とする。 姉の特訓で英語は会話できるが、秘書の仕事なんてやったことはないし知らな い。 「社長の指名らしいんだ。」 人事部長は申し訳なさそうにいう。 「社長命令ですか!」 新入社員の加奈子は命令には逆らえない。 受付の仕事は楽しかったし、アルバイトから社員になった経緯から可愛がって もらっていた。 文句の一つでも社長に言いたいが、社長は今日からシステム開発で部屋に篭っ ている。 逃げたな! そう加奈子は思ったが、鷹崎専務に会うだけ会って出来ませんと言う事にし た。 最上階の秘書室行き、専務室に案内された。 「貴女も大変ね、鷹崎専務に気に入らて。」 仕事には厳しいとは聞いていた。 社長の指名でなく専務の指名だと彼女は言う。 「ええ、最悪です。」 思うままにそういうと、彼女は 「私は山本千秋、困ったら声をかけて。」 ショートヘヤーの彼女は爽やかな美人。 細身のスーツがよく似合っている。 彼女は専務室をノックして返事を待って案内してくれた。 「どうぞ。」 その声に加奈子は聞き覚えがあった。
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