1110人が本棚に入れています
本棚に追加
デートは波乱
鷹崎はカジュアルチノパンにジャケットを羽織って待ち合わせの場所に既に到着していた。
「お待たせして申し訳ないです。」
そう丁寧に頭を下げる美鈴に鷹崎は待ってませんよと答えた。
しかし、30分前にはカフェについていたことは言えない。
「何か飲みますか?」
そう言って走ってきたのかと様子みて飲み物を勧めた。
アイスカフェラテを美鈴が注文しているのを聞いて甘いものが好きなのかと記憶した。
「先日は助けていただいてありがとうございました。」
そういって紙袋に丁寧にいれたジャケットを美鈴は手渡してくれた。
このまま持っていてくれてもよかったのに・・。
改めて彼女をみて息が止まりそうになった、長い黒髪は軽くアップにしていて細い項が見える。白いワンピースも大柄の柄が感じよく似合っているし薄く
化粧をしているが、明るいメイクは美鈴によく似合っていた。
「いえいえ、たいしたことがなくてよかったです。」
感情を押し殺すのに必死だ気を抜けば顔が緩んでしまいそうだ。
恋人同士を装っての視察だとわかってはいるが・・
「なんかデートみたいですね?私なんかで申し訳ないです。」
申し訳なくはない。
「こちらこそ、女性を上手くエスコートできるか自信はないですよ。」
何をいってるんだ?可愛い可愛すぎる。
カフェではチラチラと美鈴を見る男達が鷹崎の目に入った。自分が一緒にいても声をかけてきそうな感じもする。それほど彼女は綺麗だ。
「車大丈夫ですか?二人で大丈夫かな。」
二人だけで車に乗るのは初めてだから恐怖症のある彼女は大丈夫だろうかと少し不安に思っていた。
「大丈夫だと思います、専務は大丈夫です。」
笑顔で答えを聞いて安心する。専務は・・と言われて余計にうれしい。
「それは光栄ですね。そろそろ行きましょうか?」
そう促せばそうですねと言いながら席を立ち店をあとにした。
鷹崎は助手席のドアをあけて美鈴を乗せると荷物を後部座席に置いてから運転席に座ると少し緊張気味の彼女に声をかけた。
「行きましょうか。」
「はい!お願いします。」
シートベルトをしながら彼女は返事をしてくれた。
車の中では最近の本の話や何の魚が好きなのかなど会話は出来たと思う。
「イルカに乗ってみたいんです!」
水着でイルカの背中のる彼女は可愛いだろうなと思いながら
「泳げるんですね。」
そう聞くと申し訳なさそうな顔をして泳げないんですって言うからそれも可愛い。
「泳げなくてもイルカとは遊べる方法はあると聞いたことがありますから」
「ホテルが併設されている水族館ってあまりないですよね?」
「ええ。海外ではあるんですけどね。」
向かう水族館の話をしながら
「そうですね、今から専務は禁止です。」
そういうと彼女は少しためらうように
「ええっと、鷹崎さん?」
「それで結構です。隼人でもいいですよ。」
彼女は顔を真っ赤にして
「そんな・・鷹崎さんで!」
クスっと笑って
「可愛いですね。もうすぐ着きますよ。」
可愛いって言いました?私がですか・・
専務はいつも笑わない人だと思っていたけど違うように今日は思う。
笑顔で話してくれたり、真剣に話を聞いてくれたり。
まったく怖いと思わない、一緒にいて怖いどころか安心する。
恋人のように視察ってこんな感じなのかな?デートすら行くことなかったし
楽しんだらいいのですよ。そう彼がいうから楽しむことにした。
「イルカはドーム型の水槽にいるようですね。クラゲも綺麗みたいですね。」
館内地図を手にもって行きましょうと言ってくれた。
こっちですよと優しく案内してくれる彼が本当の恋人だったらと考えた自分に驚いた。
ドキドキしながら一緒に水槽を眺めて本当のデート?みたいにただただ楽しかった。
そんなことを話しながら歩く二人の後ろを怪しい人達が後を追っていた。
最初のコメントを投稿しよう!