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加奈子の暴走
後ろの席での会話を聞いていた。男は女に言った。
「ソフィアに落ちない男なんていないんだから、母親の前だからあの男も君の誘いに乗らなかっただけだよ。」
見た感じは優し気で茶色い髪は軽くパーマがかかっている。身長は180㎝くらいで細身の男だった。
「だよね。彼も花の前で口説けないもんね~。」
そんな軽い口調で女は答えている。
「今日も、花さんが教えてくれたんだろ?ここの水族館に視察にきてるって。」
「うん。花さんが電話して専務と話がしたいって言ったらしいから仕事の話だろうけど、今日は終日ここって聞いたらしいの。」
花さんは直接電話しないのかとか男が聞くと、鷹崎が着信拒否しているという。
加奈子は初耳でどんな親子関係なのよって思いながら聞いていた。
「でね、なんかさ秘書の人が何人かと一緒らしくて美鈴とかいう子も一緒じゃないかって花さんが言うのよ。」
気に入らないじゃない?という言い方を男にした。
「美鈴ちゃんは俺の好みなんだよね・・・ソフィアよりは劣るけどさ君は鷹崎専務がいいんでしょ?」
あのさ好みとか言いながらその女を褒めるってどうなのよ。劣るですって姉が劣る?馬鹿言わないでよ、そんな女より姉さんの方が綺麗で頭がいいわ。
イライラが顔にでていたのか大輔が
「加奈子は笑っている方が可愛いよ。」
あんな今そんなこと言う?聞いたでしょ姉を馬鹿にしたんだよあの男。
「ありがとう大輔、大輔はいつも優しいよね。」
心のこもらない会話を演じながら耳を澄ませる
「どうせホテルか水族館で食事するでしょ?そのあと女の子は化粧直しにいくからその時に一緒にいる女落としにいくから、その間にさあの男を落としちゃいなよ。ここホテルだしさ部屋に来てってソフィアが言えば落ちるよ。」
なんなんだ馬鹿なんですかこの人。
「まあ美鈴ちゃんじゃないとしても、落とすから大丈夫、もし逃げてそっちの方へ行ったら思いっきりキスするか抱きついたらさ女逃げるだろうし。」
そこを慰めたら落ちるよ女はさ・・。
何を根拠に自信をもってるのかわからない会話を繰り返す二人。
人の本質も見極められない奴。
鷹崎という男はそんな簡単には落ちない。
あの女が裸で迫っても「何ですか?」っていうだけで追い出すか黙って部屋から出るような男だろう。
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