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「カイト」と拗らせ
「俺は記者になりたい。」
佐々木 海叶は言った。
しかし、体の弱かった彼は万相談サイトを作り人の相談を受けていた。
掲示板にかかれている相談に答えたり、人と関わることを楽しんでいた。
心臓に病をかかえていた為に入院治療をしていた時事故で救急搬送されてきたのが、佐伯夫妻だった。
「海叶は勘の鋭い奴で、君のお姉さんに何かあれば相談しろとサイトの名刺を渡したんだ。その頃には自分が動けないと解っていたから、俺や相川は巻き込まれていたよ。」
三人が仲良く写っている写真。
優しそうな男性が笑顔で写っていた。
「それじゃ、お姉ちゃんがやり取りしていたのは?」
「君のお姉さんがアクセスしてきた時は、海叶は話せない状況だったよ。」
親友の最後の依頼者だったから助ける事にしたと言う。
「俺は弁護士だからね、法律家として助言したり調査したりしたよ。」
届けられた書類に助けられたと聞いた。
相川はエンジニア。
二人なら確かに事故の証拠を揃えるのは難しく無かっただろう。
「相川が君のお姉さんと会って会社に勧誘したんだ。君達を守る為だった。」
弁護士として活躍していた鷹崎が何故渡米したのか?
加奈子は疑問に思った。
「俺は君のお姉さんとかなり昔に出会っていたんだよ。」
一枚の写真を取り出して見せた。
「これ。」
加奈子見たのは、姉の最後のステージの写真。
「そう、ブラックスワンの美鈴だよ。海叶は出会わせてくれたんだ、俺の初恋の人にね。」
黒い衣装。
姉が最後に踊ったブラックスワン、これを最後に姉はバレエを辞めた。
長身の姉はバレエのパートナーに恵まれなかった。
「姉は、バレリーナになりたかったけど身長が高い事で諦めたの。でも何故貴方がこの写真を持っているの?」
「母親が協賛していたんだよ。」
ファッションデザイナーの母親が協賛していた発表会に呼び出されたステージでみた、長身のバレリーナに魅入られて講演後に会いに行ったが、声をかけれずにいたんだ。
「泣いていたんだ。」
静かに泣いている彼女の顔が痛ましくて、側に行ったら抱きしめたくなるからその場を後にしたんだ。
素晴らしい演技だったのに何故泣いているのか?
聞きたくても聞いてはいけないような、そんな彼女に声すらかけれず。
彼女に会いたくて、バレエ教室を覗きに行った事もある。
「23歳の男が15歳の女の子に恋をした認めるまで時間はかかったけどね。」
そこで聞いて、あれが彼女の最後のステージだったと。
バレエ教室に通っていたことで、変な勘違いをされてバレエ教室の娘に言い寄られて、しつこい親子に困った。
まだ勉強中だからと断った訳だが、弁護士になってから執拗に付き纏われて別の女性に彼女役をお願いして断った。
「クラブのホステスに有料でお願いしたんだよ。」
情けない顔して話す内容はあまり褒められはしないが特定の人を身代わりで付き合った訳ではないのは悪い印象はない。
「名前はパンフレットで解ったが、調査したら周りが騒がしいからしなかった。」
一番はバレー教室の親子だったが、それだけでなく弁護士で生まれも育ちもいい彼を女性はほって置かない。
「その頃は、弁護士のかけだしで金も権力も親父に勝てなかったしね。」
検事をしていた父親からお見合いを持ち込まれる事もあったらしい。
修行中だからとか、なんとかでかわしていたらしい。
実績をつみ、依頼者が絶えず多忙だった。
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