花の想いはどどかなくて

1/4

1110人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ

花の想いはどどかなくて

「この書類を見てください、あとこの録音記録もですかね。」  憔悴したソフィアを伴って花は、会社に訪問してきた。 HANAの取引先を訴えた件や自分に黙って息子が進めた件を説明しろと言い、何故ロバートが逮捕され、ソフィアが混乱しているのか昨日何があったのかを現場にいた息子に聞きにきたのだ。 「この書類を見てください。現場での会話は録音済みです。」  鷹崎は準備していた資料一式を花に渡して、録音の一部を聞かせた。  その衝撃的な内容を聞いて花はソフィアをどういうことなのと彼女に質問をした。  「私は悪くないでしょ?ロバートが花の為 だって言って、こんな事になるなんて思って もいなくて・・。」  私は悪くない、悪いのはロバートで私には責任はないといいながら、解ってくれるよねと甘えるようにソフィアは花に言った。  「ソフィア・・自分の過ちが解らない?」  そう静かに話す花は録音テープを文章に起こした資料を指さした。 そこに書かれているのは、ロバートが指示しているとはいえその指示に従うような、同調するソフィアの会話の一部が記載されていた。  「私が一番貴女に失望しているのは、私に は息子を愛しているから恋を応援して欲しい と言っていたのに、こんな最低な計画を止め るでもなく・・息子の交際相手を排除する為 に計画を実行しようとした事よ。」  自分は鷹崎と一緒にいる女性に演技でやきもちを焼かせて二人を仲たがいさせてから、彼に迫るつもりだっただけで、攫うとか売るとかそんな計画に加担するつもりがなかた。 そう、ソフィアはだから私は悪くないと・・悪びれることなく言った。  「本当にそうかしら?貴女は今までもライ バルを押しのける為に容赦がなかったわ。そ れはいいのモデル同士でのことだから・・ でも今回は違う!ロバートの言う通りにしな かったかも知れないけど本気で彼に脅された らどう?自分の為に貴女は行動して今みたい に自分は悪くないって言うと私は思うわ。」  花の指摘に何も言えなくなるソフィアはそ れでも彼女に食い下がるように言った。  「花、私は努力してきたわ。私と彼が結婚 したら私を娘にできるのよ。花は娘が欲しい っていってたじゃない!私が娘みたいて。」  確かに貧しい生活をしていたソフィアは頑張ってはいた、それは誰もが同じこと・・ただ彼女が必死に生きる姿は応援してあげても いいと思ったから専属のモデルに採用した。 そこから彼女は厳しいレッスンもトレーニングも頑張ってはいた。 強い女性をテーマにしたかった花にとっては素材として必要だっただから、イメージモデルとして大事に育てた。  娘がいたらこんな感じだったのかしら。と思ったけど・・・。  彼女が有名になって仕事が増えてきて強さが我儘になって傲慢になってきているとは感じてはいた。 周囲に敵が多い彼女のメンタルを守る為に頼み事は聞いてあげたし、愛されることを覚えて、人を思いやる気持ちを持って欲しかった。  会社やデザイナーの仕事にも興味を持ち出したソフィアをモデルを辞めても仕事ができるように経営や人との付き合い方を教えているつもりだった。 「どこでどう私は間違ったのかしね・・。」  息子と連絡がとれずに状況が解らないのに取引会社から脅迫めいた電話があった為に花はパニックになっていた。何度も会社に電話してやっとその日の予定を聞きだした時にソフィアが部屋にいることに気が付いた。 ソフィアはそのあとすぐ取材を忘れていたと急いで帰ったけど・・まさかこんなことになっているとは思わなかった。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1110人が本棚に入れています
本棚に追加