噂の彼女と噂の彼

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「美鈴さん大丈夫ですか?」 かなり顔色は戻ったが訪問者の名前を聞いたとたん、美鈴が顔色をかえたのを井川は見逃さなかった。 井川の問いかけに美鈴は少しためらいがちに答えた。 「大丈夫・・。」 「急な訪問者って何か美鈴さんにした人じゃないですか?」 美鈴は井川をなぜわかるの?というような顔でみた。 「何かをされた訳ではないのよ・・・ただ昔ね彼に言われた言葉を未だに気にしてる私が悪いの十年以上前のことなのでも、あまり会いたくない人かな。」 そう言った美鈴にそれ以上踏み込んで聞くのは良くないと井川は感じた。 「でも、一人で悩まず話してください。」 井川君はよく見てる・・会いたくないもう傷つきたくない。 美鈴は自分の心の治りかけの傷がうずくように感じて少し怖かった。 美鈴がバレエを諦めた原因となった言葉を言ったのが田崎 祐樹だった。 ピコーン!と美鈴のスマホが受信をしらせる音がした。 就業時間内に美鈴のスマホが受信することは珍しかったから美鈴も誰だろうとスマホを確認した。 「変な訪問者が来たみたいですが大丈夫ですか?帰りは一人で帰るのは良くないですから、妹さんが遅くなるようなら僕が送ります。何があれば遠慮せず連絡ください。     鷹崎  」 メッセージをみた美鈴はすぐに返信した。 「ご心配をおかけしてすみません。ありがとうございます。 美鈴」 美鈴はさすがに専務に送迎させる勇気はなく加奈子が帰るのを待って帰宅することに決めた、必要以上に鷹崎に心配かけたくない 美鈴は鷹崎の優しさが嬉しかった。 気分の上がった美鈴は顔色も戻り午後の仕事もはかどって定時に仕事を終えた。 少し加奈子は遅くなるという連絡をうけて、玄関ロビーで待つことにした。
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