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会議室に入ると向かい合うように座ったが、鷹崎は美鈴の側にいた。
「佐伯・・俺は君に謝りたかったんだ!君に酷い事を言った事をずっと気になってたんだ。」
シュンとした顔をして田崎は言った。
「SNSで君の写真が拡散された時に、九条 美月に会ったんだ。あいつ今母親のバレエ教室を手伝ってるんだけどコメンテーターみたいな仕事もしててさ、俺の控室に来たんだ。」
九条美月は美鈴より2歳年上のバレエ教室の一人娘だった。
鷹崎は思い出したくない名前を聞いたと思ったが黙って聞いていた。
「その九条が佐伯の写真をみて言ったんだよ。バレエを辞めてもモデルなんて生意気だって。それでなんでだと聞いたら俺・・
あいつから佐伯が俺を馬鹿にしてるし自分とはレベルが違うからパートナーとしては役不足だと言ってるって聞かされたんだ。
それで俺は佐伯に、酷い事を言って九条をパートナーに指名して結果的に佐伯はバレエを・・・。」
美鈴は聞きながら黙っていた、今更聞いても過去には戻れないし九条が嘘を囁いたにしても彼の行動は酷いものだった。
今彼になんと言っていいか美鈴は分からずにいた。
「田崎さん、君が今それを美鈴さんに謝罪したいのは理解できました。でも、君が本当に謝罪したいなら今日のような強引な態度はいかがかと僕は思いますよ。それにその女性が嘘を囁いたとして、君はその真偽を確かめずに自分の自尊心の為に彼女を傷つけたのでしょう?」
謝るのは今更ですと鷹崎は言った。しかし田崎は続けた「俺は君が好きだったんだ!」そう言うとだから今の俺を知って貰って付き合ってくれないかと美鈴に告白した。
そこで美鈴は初めて口を開いた。
「私は昔貴方に憧れていました、でも貴方に言われた言葉は今でも覚えてます。消えないんですだから今の貴方を知りたいとも思わないし貴方を想うことはありません。」
美鈴はそうハッキリと言うと妹が待ってると思いますので失礼します。
そう言って席を立った。
何も言えなくなった田崎は呆然とその場にいたが、美鈴が部屋をでた時に鷹崎が田崎をみて言った。
「君は誰に頼まれたのですか?君にも言っておきますが伝言宜しくお願いします。美鈴を傷つけるなら容赦はしません何もかも失いたくないならばこれ以上のことを仕掛けてこないことです!」
鷹崎は勘づいていた、九条美月が裏で動いていること。
田崎を使い美鈴を自分から引き離して、また鷹崎に近づこうとしていること。
「やはり気がついたのですね、あの女はこの画像を見たんですよ。」
そう言って見せられた画像は鷹崎が美鈴を抱き上げている姿だった。
「なるほど・・。僕は美鈴を愛していますからね、彼女が君に使ったような手は僕には通じませんよ。」
そう言って鷹崎は美鈴を追いかけるように会議室を出た。
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