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シスコン姉妹の協力者
「加奈子専務の秘書になったって大丈夫?」
美鈴は長い黒髪を一つに束ねて、フワモコの部屋着にエプロンで加奈子に聞いた。
「うん。専務は自分で何でもしてしまうから大丈夫。」
ジャージに眼鏡。
スマホゲームしながら加奈子は心配いらないと答えた。
「相川社長が決めたらしいけど、人事に無関心の社長が指名したって聞いたから、専務は仕事は出来ると有名だけど、性格までわからないから。」
深刻そうに心配そうな顔をする姉。
こういうとこお姉ちゃん可愛すぎる。
そう思いながらキッチンにいる彼に
「大ちゃん、ご飯まだ?」
「出来たよ。加奈子はスマホ置け。」
黒いエプロンをつけ手には大皿を持っている。
結城大輔は加奈子に呼び出されて、料理を作っていた。
「大輔さんゴメンね?加奈子毎回当番に大輔さんに作らせないの。」
「俺はいいですよ。すきですから料理。」
結城大輔は身長が高く、ガッチリ男らしい。
料理なんてしそうにないのに、マメで加奈子の料理当番の時に度々加奈子に呼び出されて料理を振る舞ってくれる。
「唐揚げ美味しい。」
満面の笑顔で唐揚げを食べる加奈子を二人は優しい目で見る。
可愛い顔には不似合いなほど食べる加奈子。
「大ちゃん明日さ道場つき合って欲しい。」
加奈子は幼い時から空手を習ってきた。
道場で先輩だった大輔との付き合いは、意外にながくお互いを理解し合っている。
「ああ、いいよ。」
大輔は察したが顔には出さない。
加奈子が秘書になった事も、しかもアメリカ帰りの専務。
大輔にしても聞いておきたいところだ。
付き合いだしたのは、加奈子が大学に入ってからだが幼い頃から知っている。
姉の美鈴とも仲は良好。
姉妹とはまだ彼女達の両親が健在の時から知っていた。
仲の良い夫婦で男手一つで大輔を育てた父親と佐伯夫婦は仲が良かった。
「親父も会いたがっているし。」
大輔の父親は空手の師範で今だ現役だ。
元刑事で妻を亡くしてから警察を辞めて道場を経営したらしい。
「おじ様はお元気?」
両親を亡くしてから何かと気にかけてくれる大輔の父親は頼もしい存在だった。
「元気だよ。今日はデートなんだとか言ってたよ。」
大輔の父親は大輔と違い軽い。
家には連れ込まないが、彼女は複数いるらしい。
見た目が若く50歳過ぎには見えない容姿と鍛えた体は恋愛現役らしい。
食事を終えてから加奈子はコンビニへ行くと大輔と一緒に外にでた。
「ライン出来ない内容か?」
大輔は加奈子歩きながら話し出した。
「うん。実はさ」
専務秘書になった経緯を大輔に話をした。
明日話そうと思っていた加奈子だが、大輔に聞き出された。
「あの時の男か、拗れてるけど本気なんじゃないか?親友とはいえさアメリカで心臓移植させたなんて相当金と力が無いと無理だし。今の加奈子の会社は注目度高いんだよ。」
大輔は鷹崎 隼人についてもある程度知っていた。
弁護士時代の武勇伝から、実家のいきさつや今に至る経歴は加奈子より詳しかった。
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