バーベキューは恋模様

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「話は終わりましたか?」 「ええ。とても楽しかったです。」 花さんが困らせなかったですかと心配顔をして聞く鷹崎にそんなことは無いですよと美鈴は笑顔で答えた。 その様子を見ていたアランはそっと花のアトリエに入って行った。 「アラン、見て。これ彼女が選んだドレス・・あの子が選んだのと同じよ。」 事前に息子の鷹崎に美鈴ならどのドレスを選ぶと思うかと花は聞いていた。 「ほーう。あの二人はお似合いだよ。」 花は飾ってあるウエディングドレスのデザイン画をみながら 「このデザインが無駄にならないことを願うわ。」 美鈴がみたウエディングドレスのデザインは花が彼女の為だけにデザインした未発表のものだった。 世界でただ一枚の息子の嫁に贈るプレゼント。 「おそらく大丈夫だと俺は思うよ花。」 美鈴と鷹崎が二人で笑いながら会話をしている様子を横目で見ながらこれからの二人を見守ろうとアランは言った。 感情を失ったように表情を変えない人形のような息子に育ててしまった負い目を美鈴は払しょくしてくれている。 「彼女だけじゃないさ、彼を取り巻く人達はいい影響を与えてくれているんだよ、彼自身も変わろうと思ったから今の彼があるんじゃないのかい?」 「そうね。」 賑やかに息子の同僚が騒ぎながら食事をするなんて花は最近まで考えもしなかった、そうあったらいいとは思ってはいたけど到底かなわない事だと思っていた。 だからこそ今日の集まりは花にとって夢のような出来事だった。
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