1112人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
陰謀の影にも負けず
「浮かれてますね~。」
「そうね。」
加奈子と千秋は隣で上機嫌の奈々の様子を観察していた。
「同じ浮かれてもいい方は今日は鬼のように仕事してるわよね~。」
鷹崎はいつものように美鈴を迎えにはきたものの、仕事はいつもよりハードにこなし電話で報告を受けながら別の書類を作成するようなことを平気でしている。
「千秋さんあれ今日は二人でデートだからじゃないですかね?」
加奈子は姉が今朝言っていたことを思い出した千秋にそれとなく報告した。
「なるほどね。」
「そう言えば、鷹崎専務の机の上には美鈴さんの写真すでに飾ってありましたよ。」
いつの間に用意したんでしょうね~と今日専務室を掃除した由紀が確か一昨日でしたよね付き合い出したのは?と疑問に思ったようだった。
「そうね・・机の中にあったのを出しただけなんじゃないの?」
千秋はそのくらい想定内と答えると膨大な写真ストックを知ってる彼女は、なんでもない事のように言った。
「笑顔で映っていて大学生の頃なんじゃないかな?」
由紀は写真の背景に大学の校舎が写りこんでいたというから大学時代の彼女だろうと推測していた。
その写真を写した人物は笑顔が自然なことから考えて身近な仲の良い人が撮影したということではないかと由紀は思っていた。
「もしかするとその写真を撮影したのは、明(あかり)さんかな何故専務が持ってるのだろう?」
「相川社長が手に入れて専務にお願い事の時に使ったのよきっと・・・。」
千秋は今でもよく相川は、その手を使ってるわよと言うと仕事さえ円滑に進めば問題なしと言った。
「あっ!でも付き合い始めたから相川社長はその手封印かもですね。」
その方がいいわよ、少しは事務仕事を自分でしろって思うわと彼女だとは思えない鬼畜発言の千秋は今日もまた相川から上がってきていない書類にイライラしていたのか「催促してくるわ!」と社長室に向かって行った。
最初のコメントを投稿しよう!