陰謀の影にも負けず

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 「で!2人は今日はデートに行ったっけ?」 相川は社長室を片付けてから鷹崎に頼まれた仕事をしていた。 呑気な奴だとか、ブツブツ言っているが二人が仲良く手を繋いでロビーを出る姿を見て嬉しそうにいていた事を千秋は知っている。 「まあね、鷹崎が幸せそうにしてるからね~。」 だから、二人の幸せを邪魔させないという気持ちが強い。 鷹崎が感情乏しくでも必ず黙って親友の為に自己犠牲を自己犠牲と言わずに信念を貫く、花が昔言っていた言葉を思い出す。 「鷹崎はさ、親父さんソックリみたいなんだよな。厳格な親父だったみたいだけど、本来は正義感が強く不器用な人だっただけだと花さんが言ってた。あいつは何手先も読んで周到に罠を巡らす器用さはある、もしも彼女を失うことがあったらアイツは壊れる。」 「それは・・・。」 鷹崎にとっては美鈴は命そのものなんだよ、鷹崎が美鈴を失うような事があったらそれは考えるだけでも怖い。 鷹崎は間違いなく美鈴を溺愛している、でもここまでの経緯を考えると失うと狂うだろうということは千秋にでも容易に想像できる。 「あいつはさ、今まで「紳士的ストーカー」だったと俺もさすがに思ってるよ。」 「今まで?今もじゃない?」 間違いないとつい二人で笑ってしまったが相川がキーボードを叩く音は止まらない相川は二人を援護する為に今できる事を準備していた。 明が来たということは周囲を味方で囲んだと言うことだが敵の本質さえ見抜けない状況もおそらく読めていない九条に少し同情する。 「今頃、キーッってヒステリー起こしてるよあの女。」 相川にしては珍しく人の悪い笑みを浮かべる、その様子を千秋は明日以降で何が起こるのか想像もできなかった。
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