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真実を知っても・・
「お前は何をしたんだ!」
九条兼続はグループの柱となるプロジェクトがいくつも契約保留と報告が入りすべて鷹崎が関与していると聞き激怒していた。
九条美月は祖父である会長の怒りの矛先が自分に向かってくる意味が解らなかった。
「まだ何もしていませんわ。」
美月は盗聴器をしかけて、祖父の名前を使いセキュリティー会社を買収しただけで情報を得る為に動いただけだと反論した。
「大バカ者!女の浅知恵などであの男をどうこう出来ると本気で思っておったのか!」
5年前は実力と才能はあれど何の力もない男だがどう化けるかと思ったが、すでに底知れない男になっている。
そんな男を手に入れたいと思う孫の気持ちはわからなくもない、しかしこの孫ではあの男はどうにも出来る筈がない。
解っていないのはこの孫娘だけだ!
「おじい様。彼が今付き合っている女性は私の知り合いですわ。あんな色気もない小娘なんか排除してしまえば・・。おっしゃいましたよね鷹崎隼人なら婿にして後を継がせてもいいって。」
美月は鷹崎の恋人は男性恐怖症だと祖父に報告し、男はそれを知っていたとしても恋人としては役不足だと説明した。
「それはそうだが、美月お前を受け入れるとは限らんぞ、どんな娘か知らんがお前は確かに容姿はいい。落として婿となるなら後を継がせるこれは約束しよう。」
九条兼続は判断を誤った。
孫娘が情報を得てもそれを活かすことも判断する事もできないとは思っていなかった。
美月は数日前に仕掛けた盗聴器が既に使えなくなって、しかも情報を集めて欲しいと依頼した業者からはシステムが使えなくなったとかで賠償金を支払えと言われて頭にきていた。
碌な情報もつかめない使えなかったのに、何が賠償よ。
素行調査を依頼したら、ただ仲のいい二人の写真だけをよこしてきたり。
美鈴を攫うことも考えたが毎日鷹崎が送迎していて彼女が一人になることがない。
ファンだという男に美鈴のマンションを教えて襲うようにお願いしたらその男とは連絡もつかない。
かろうじて使えそうな男のアイコンをタップした。
「田崎君この間お願いした件明日は大丈夫なの?」
「本気なのか?辞めておいた方がいいよ。」
「貴方のスキャンダルって楽しそうよね。」
田崎は美鈴に拒絶されてから美月が仕掛けたハニートラップに引っかかり、田崎の事務所は今は美月に逆らえない状況だった。
「わかったよ。」
通話を終えた美月はイライラしていた。
一枚の写真をみて美月は余計に苛立ちが増してきた、その写真には手を繋いで見つめ合うような鷹崎と美鈴が写っていた。
「あの女生意気なのよ!!」
そう言いながら写真を破り捨てた。
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