ちょっとその転生、待った

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ちょっとその転生、待った

魂の色は魂の記憶を繋ぐ色であり、魂の色は魂の全ての記憶を繋ぐ色である。 それは鮮烈な前世紀億を呼び覚まし、アツい想いを保温する。 この色を「ソウルカラー」と呼ぶ。また転生を重ねると濃くなる。 これは別に魂が強くなると、転生者の人格に影響を及ぼすことではなく、単純に転生者の人格が変わってしまうということだけを意味するものではない。 その人が魂の強い肉体に育っていることを証明し続けているというだけだからだ 「魂には色があるんです」 相談員がそう説明した時、彼女はひどく驚いたようだった。 「それって魂が複数あるみたいじゃない?」 相談員が首を傾げる。確かに多重人格の話を聞くことがあるが、多重人格とは違う。 「それは違う。多重人格とは全くの別ものだ」 「どうしてわかるのかしら」 「そういうものだから」 相談員が断言した。 「わかったわ。それで、あなたたちの魂はどのくらい色が付いてるのかしら」 女神たちがお互い顔を見合わせた後、相談員を見て言った。相談員が「まぁ……」「それなりには」と答えて笑った。 「私なんか魂は無色ですよ。相談員なんて名ばかりです」 「ふーん、そうなんだ。私、あなたの魂の色、見たかったな。でも、きっとすごく綺麗でしょうね」 彼女が感慨深げに言った。 その表情からは何を考えているのかわからなかった。 ただ純粋に自分の心の中にあったものを表現しただけのようで、それが本当に そうであるかどうかはわからない、というように思えた。 そして、駄女神は我に返った。 私は一体なんでこんなところに来て相談をしているのだろうと思った。 魂を取り込むことはできる。 だが、どうしたらいい? 胎児として生まれ出たとしても、その赤ん坊はまだ赤子の段階に過ぎない。 自我がない。意識もない。当然、話すこともできないし動くこともできない。そんな赤ん坊が、突然魂を得たとしたらどういう状態になるだろうか。 母親にとってみれば恐怖だったに違いない。 母親は何度も赤ん坊を抱きしめてあやしつけるのだが、それでも赤ん坊は泣くだけで、何一つ反応しないのだ。
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