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満「は? え、駆け落ち?」
秋葉はコクンと頷いた。
満「何、どういうこと? 何で姉ちゃんが駆け落ちなんて…」
秋「こっちが聞きたいわよ。 お父さん、ある日突然手紙を残して姿を消したの」
満「手紙?」
秋「ええ。 手紙には満枝夏子(みつざわなつこ)とはキャバクラで出会ったこと。、彼女に一目惚れしたこと、あとお母さんと私への感謝の言葉が書かれてたわ。 満枝夏子ってあなたのお姉さんでしょ?」
満「名前が似てるだけかも…」
秋「…探偵に調べてもらった」
満「探偵!?」
秋「顔と名前は分かったんだけど、肝心の居場所が分からないの。 探偵の人に家族構成調べてもらったら、あなたの名前があった。あなたなら居場所を知ってるかと思って…」
満「その荷物は?」
彼女の隣にはキャリーケースが置いてあった。
まるでどこかに旅行に行くみたいだ。
秋「…家出してきた」
満「家出!?」
秋「お母さん、『お父さんの人生だから』って連れ戻そうとも弁護士に相談しようともしないの。 何事もないみたいにニコニコして…。それで私イラついちゃって。一方的に怒鳴ったあと勢いで出てきたの」
満「…それでとりあえず俺のところにきて姉ちゃんのこと聞き出して乗り込もうと」
秋「行くのは明日。とりあえず今日はホテルに泊まる」
満「あ、そう…。言っとくけど、俺姉ちゃんの居場所全く知らないから。両親も去年事故で亡くなってるから連絡先も聞きようがないし」
秋「親戚の人とかに聞けば良いじゃない。というか何で姉弟の連絡先も知らないのよ」
満「…姉ちゃんとは縁を切ってるから」
秋「え…」
彼女は驚いた顔をしていた。
満「姉ちゃんが高校卒業してすぐ、家に結婚相手を連れてきたんだ。相手は通ってる学校の担任の先生。しかも妻子持ち。つまり不倫さ。もちろん両親は大激怒。でも姉ちゃんはその人と結婚してそのまま家を出てった。それ以来会ってない。両親の葬式にも顔を出さなかったんだ。俺にとって姉ちゃんは既に死んでるも同然なんだよ」
秋「…なんか、ゴメン」
満「いや…」
しばらく沈黙が続いた。
満「…コーヒー飲む?」
秋「え?」
満「せっかく来たわけだしさ…。生憎インスタントしかないんだけど…」
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