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サラは今年、2日後の誕生日を迎えて18歳になる。
サラは言ってしまえばお嬢様。なかなかの豪邸に住み、父と母に愛され、お付きのメイドや執事もいたりする。
執事はルカ。サラの10歳上、ルカもまた2日後に28歳になる。
サラとルカは偶然にも誕生日が一緒である。時間まで考えると、サラの方が6秒早く生まれている、らしい。
そんなことを知ったとき、サラは嬉しそうにルカに言う。
「つまりね? ルカ。私と貴方は、私が1つ歳を重ねてから6秒間、9歳差になるわけよ」
「はい、そうなりますね、サラお嬢様」
「どういうことか、分かる?」
「そのままでございますね。6秒間だけ、9歳離れた時間になる、と」
「それって、かなりステキなことじゃない?」
「そうでしょうか? お嬢様が言うなら間違いないはないのでしょうけど」
自明な事を伝えておこう。サラはルカのことが好きである。
とにかくとても好きである。大好きなんてモノではない。愛のレベルに突入している。
一方でルカはどうだろう。これまた自明な事である。そうでもないのである。
別に嫌いというわけではない。どちらかというと、好きである。しかし、サラとのそれは違う。
サラの一方通行である。これは2人の間では自明な事である。
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