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「俺……明日クビになるかもしれない……」 「阻止してね、ルカがいないと困るから」 「ケイト………」 「サラお嬢様がトチ狂う」 「………」  いつものように、ルカとケイトが話し合っていた。 「……俺、別にそんなにカッコいいとか、イケメンってわけじゃないよな?」 「顔は整っていると思う。イケメンだとかそういう判断は個人によるからなんともいえない」 「なんか照れるな」 「私は別にカッコいいだとかは言っていないけれど」 「うん……そだね……」  なんだか自分の容姿に自信があるような言い方になってしまい、妙に恥ずかしくなるルカがいた。 「……俺、多分歳より若く見えてんじゃないか?」 「うーん、それは否めないね」 「それだ! 俺がもう少し年相応(オッサン)になればいいんだ! なあケイト、どうすればいいと思う? どうすれば俺はオッサンになれる?」 「ルカはオッサンになりたいの?」 「オッサン差が増すと、お嬢は冷めるんじゃないか?!」 「うーん、」 (多分ないだろ)  とケイトは思いつつも、知恵を振り絞りある提案を口にする。 「前髪上げるとか? なんとなく、額が見えていた方が、大人っぽくなるイメージがある」  ルカがほんとうか? と目をキラキラさせていた。 「……少し幼さは薄れるんじゃないかな」 「わかった!」  ルカが嬉しそうに頷いた。 (これで生え際が危なかったら、そのオッサン度がMAXなのだけれど)  というのは、心の中だけで付け加えることにした。
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