10−1、6秒間

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 あっという間にサラとルカの誕生日当日。  ケイトはサラを起こしに部屋に向かう。 「失礼いたします。おはようございます、サラ様。お時間です」 「………ん……」  サラが眠そうな表情でありながらも、ベッドから腰を上げる。 「お誕生日、おめでとうございます。朝食のお時間ですよ」  『誕生日』、という言葉を聞いた途端、サラの目は覚醒する。ネグリジェからケイトの持ってきた今日のワンピースに身を包みなおし、鏡で髪型確認、それから早足に洗顔を済ませる。  故意的なのか、単に苦手なだけなのか、サラの胸元のリボンの形はとても綺麗とは言い難い様子で結ばれている。 「ルカは? 呼べるかしら」 「朝食の準備ですが、お呼びいたしましょう」 「お願いする」  そう言ってケイトは早足に、朝食の準備を終えたであろうルカを呼び出した。 「ルカ、サラ様がお呼びです。あと誕生日おめでとう」 「おはようケイト。ありがとう。ところでどうだ? オッサンか? 俺」  早速昨日のことを実践した様子のルカは、随分と自信満々で聞いてきた。  ルカは、いつも素直に降りている前髪を、二分に分けていることで、いつもより顔がはっきりと見えるようになっていた。  そのせいか、一緒に朝食の準備を進めている他のメイド達がいつもよりそわそわしている。 「…………ゴメン、ルカ」 「えっ? 何故謝る?」  しかし今更言うのも悪いか、と謎の気持ちが働き、ケイトはそれ以上何も言わなかった。
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