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それから滞りなく、サラの誕生日会は終わり、あっという間に夜になる。
サラが生まれた時刻は23時48分07秒。
今の時刻は23時を過ぎた頃。サラはルカを自分の部屋まで連れて行っていた。
今日の二度目は『今日は、私のそばにいて』。
そのためルカはサラについていくことしかできなかった。この毎年のことである。誕生日の、どうしてもやってほしいことの1つは、必ずコレである。
サラはルカを、ベッドに座らせている。
その後ろにサラがいる。
「サラお嬢様、それ以上近付かないで頂けますか。レイ様に解雇されます」
「ルカは私のどうしてもやってほしいことを遂行しているだけだわ」
サラはルカの背中に身を預けた。手をルカの腹に回す。
「ねえルカ」
「はい」
「昔みたいに遊んで」
「それはできません」
「私、本当に貴方のこと好きなのよ」
「それは光栄です」
「いつになったらこたえてくれる?」
「サラお嬢様のお相手はそのうち現れますよ」
「もう現れてる」
「レイ様がお許しになった相手ですか?」
「母様はお許しよ」
「マアサ様もレイ様も、お嬢様のことを考えての判断でございます」
「適当に話を返さないで」
サラの腕の力が強くなる。ルカは特に反応を示さない。
このまま眠ってくれれば良い、ルカはそう思って時計を見る。
それから暫くして47分くらいになった頃、サラが起き上がった。寝ぼけていないかと期待をしたが、しっかり意識は保っているようだ。
「あと、いっ、ぷん」
「申し訳ありませんが、離れていただけますか」
サラが離れる素振りは見せない。
「10−1、6秒間」
温かな息が、ルカの首筋にかかる。サラの口は、ルカのそばに。
「お嬢様」
それから秒針の音が、やけにうるさく聞こえてくる空間になった。
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