壺漬け

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鈴木君は大学進学の為に上京した。 まずは住みかを探す為、不動産屋に足を運んだ。東京の新興住宅地の家賃は高かったが、窓に貼られた案内を閲覧していると、一件だけ妙に安いアパートがあった。 (これはヤバイ物件かも) そう思ったが、唾を付けてメモすると、他の不動産事務所を見て回った。 しかし入学式の時期が近く、手頃な物件は見つからない。 仕方なく、覚悟を決めて、先述の物件選んだ。 「事故物件じゃありませんよね?」 大家との面接の際に聞いてみたが、まだ通告義務の無い時代で、大家は何も言わなかった。 引っ越して数日。 怪異はすぐに起きた。 アパートの駐車場に猫の死体が捨てられているのを、数回目撃し、その晩は必ず猫の影が縁側の磨りガラスを引っ掻く音で目が覚めた。 しかし、窓を開けても猫など居ない。 暫くすると猫の死体を目撃した晩は、天井裏から猫の声がする様になった。あまりにも毎晩鳴くので、懐中電灯を持って天井裏を覗くと、木乃伊化した猫の頭が山積みになっていた。 天井裏がこれなら床下はどうだろう、と畳を上げてみると、壺に漬けられた動物の内臓が埋められていた。 気持ち悪かったので生ゴミの日にごみ捨て場に棄てると、「俺の猫を棄てたろ?」と、髭面の男に言われた。 彼は今、戦々恐々としている。
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