序文的な何か

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序文的な何か

 20世紀の著名な物理学者にエルヴィン・シュレーディンガーという人物がいる。生涯、精神と物質とのかかわりを、科学と宗教という一見相反(あいはん)する両者の視点から研究し続けた人物だ。  彼の有名な思考実験に『シュレディンガーの猫』と呼ばれるものがある。  何やら残酷な装置の付いた箱の中に、生きた猫を一匹閉じ込める。残酷な装置は、1時間に50パーセントの確率で猫を殺す。このとき、猫の生き死には確率によってしか決まらない。つまり箱を開けてみるまで猫の生き死には確定せず、箱の中の猫は、生きている状態と死んでいる状態の両方を取り得る、『重ね合わせの状態』にある、というものだ。  
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