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なんで、俺が。
中澤智哉は、顔を洗って鏡を見た。
自分で言うのもなんだけど、今まで相当にモテてきた。
けど。
別に大勢にモテたい訳じゃない。
律にだけ愛されたかっただけなんだ。
それなのに。
響の奴は律を嫁にしやがった。
「はぁぁぁぁぁ…りつぅ…」
大きなため息をつく。
なんで、俺がひとりぼっちにならなきゃいけないんだ。
顔の割に性格も悪くない、とおもう。
同性の友達だって多い。
─それなのに…
歯を磨いていると、ブーブーとスマホがなった。
大学の同級生、桜井からのライン。
『智哉。今日、合コン参加してくんない?女子達が、智哉くんが来るならって言ってて』
─合コンかぁ…
今まで女子に欲情したことは無い。
明らかに誘われても、お持ち帰りはしたことがない。
それもあって、男達からの信頼も厚く、しょっちゅう誘われる。
「智哉が来るっていうと可愛い子がめっちゃ集まる」というのが、彼らの言い分だった。
メリットは無いけれど、たまにご飯とか奢ってもらえるので、智哉は、人寄せパンダとして何回か合コンに参加してきた。
『わかった。行くよ。何時にどこ?』
そろそろ彼女でも作ろうかなぁ、と、智哉は考える。
まぁ、律をこえる奴はいないだろうけど、いつまでも独りっていうのもね…
桜井とラインでやりとりをして、出掛ける準備をした。
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