25 夢の終わり

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 蒼太のPTSDの治療という名目ではあったが、私は真面目に佐倉さんのカウンセリングに通った。それはあるいは、どうにかしてこの二重生活から抜け出して、まともな現実を受け入れたい、という無意識の表れだったのかもしれない。  頭がガンガンと痛んだ。窓を閉め切って暑さのこもる暗い寝室の中、私はじっと立ち尽くしていた。  私の世界は壊れてしまった。この半年間、守ってきた世界……どっちつかずの曖昧な、モラトリアムの世界は。  だが、次にどんな世界を選べばいいのか、それが私にはわからないのだった。
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