ヒーローの母

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ウルトラセブンを母の代わりにしていた頃から38年経った ヒーローは大きく変わった ウルトラセブンが実在するとは今では思っていない 怪獣も実在するとは思っていない だが怪獣以上の恐ろしい敵も、それに立ち向かったウルトラセブン以上のヒーローも知っている その敵とは世の中に認められたいという自分自身の煩悩、そしてヒーローはその心を乗り越えていった、実在の人々だ かつて実在した作家、ヘンリー・ミラーは「君にはひとかけらの才能もない。君は作家として落第だ」と編集者に言われながらも創作者としての夢を追い続けた 今、この随筆を書いている僕は「こんなの書いてもまた落選になるだけだろうな」と思いながら創作している だが僕が世界最高傑作の文学だと思っているのは世の中から受け入れられなかった放浪の俳人・種田山頭火の個人的な日記だ 人に認められようとは思わず心のまま、ありのままに書いた文章が心を撃ってきた 僕がめざしている最高のヒーロー随筆をヒーロー詩人として書く上での闇に輝く星は山頭火なのだ
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