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こうして全員を巻き込むことに成功したわけだが、問題は何をして遊ぶかだ。クレハたちに一任してしまうと容赦なく外へ連れ出されてしまう、それだけは避けなければ。しかしこちらで全てを用意してしまったら自主性が損なわれる。くっ、どうするべきだ……!
「あんたまた下らないこと考えてるでしょ?」
「……何して遊ぶか考えてたんだよ」
別に下らなくはないとは思うが、表情から読み取るのはやめていただきたい。
「クレハちゃんとリオくんは何がしたいですか?」
当然と流れとして、奏多は二人に訊ねた。リオは何か言いたげだったが、それ以上にクレハが勢いよく身を乗り出す。
「はい!あのね、おにごっこ!」
「……クレハよく聞け。この街でのおにごっこは大変危険な遊びなんだ。子供が手を出していい領域じゃない」
「子供に嘘教えるな」
テーブルの下で遥の鋭い蹴りがピンポイントで弁慶さんにクリティカルヒットした。……うん、嘘は駄目だよね。
「クレハ……別ので頼む」
「じゃあ……かくれんぼ!」
「オレの第三の目が開眼したら全員の居場所が即座分かるから勝負になら痛って!」
再び蹴りがヒットする。流石にやりすぎだろうと睨みつけるが、それ以上の眼光の鋭さに思わず目を伏せた。そうです、全部僕が悪いんです、だからもう蹴らないで……。
「ししょー、どうしたの?」
「……クレハも大人になれば分かるさ」
クレハはふーん、と興味なさそうに鼻を鳴らした。しかしこのままクレハの主張を受け入れてしまえば灼熱の太陽の元にさらされてしまうし、だからと言って断り続けるとオレの弁健さんのライフが持たない。どうしたものか……。……そういえばリオも何か言いたげだったな。
「リオは何がしたい?」
「ぼ、僕?」
質問が自分に向かうとは思っていなかったらしく、一瞬肩をビクつかせた。そして再び遥から睨みつけられるけど、今回はオレ悪くないよな?それにそんな睨まれてもオレの攻撃力はこれ以上さがらないぞ。
視線が集まるのをむず痒そうにしつつも、リオは口を開く。
「あのね、クレハちゃんのお母さんに頼まれてるんだ。宿題手伝ってもらってほしいって」
「あっ、リオ言ったな!」
慌ててリオの口を塞ごうとするけど、もう全部聞いた後だから意味ないよ。
しかし宿題かぁ……宿題ねぇ。タイミングがいいのか悪いのか、まさに先ほど終わらせたばかりなのに、また宿題の呪縛に取り付かれるのか。なんなんマジで、この世界の夏休みは宿題とミゲル君しかやることないの?
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