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それは丁度昨日アップされたばかりの情報だった。
この街は何十年か前までランタン祭りで有名だった。
ランタン祭りというのは、お盆の先祖供養のお祭りだ。火をつけた蝋燭に紙でできた覆いを被せて空に飛ばすお祭りだ。ふわふわと浮いていくオレンジ色に染まったランタンが、山から吹き下ろす風に乗って空いっぱいに広がって、海の向こうに飛んでいく。けれども飛んで行ったランタンはいずれ海に落ちるわけで、環境破壊だと言われて50年前くらいに廃止された。
俺の爺さんは当時ランタン祭りを主催する委員の一人だったそうだ。
「ずいぶん廃止に反対したけど結局ダメだったんだよ、綺麗なのになぁ」
「僕も一回生で見てみたかった」
「映像なら結構残っているんだけどな」
爺さんはそうしみじみと呟いて、膝の上に乗せた俺と一緒にランタン祭りのホログラムを眺めた。爺さんがドローンで撮った映像らしいのだけど、ふわふわとゆっくり上がっていくランタンがとても美しかった。上空から斜めに撮った映像ではランタンの光が暗い海面に反射してゆらゆらと揺れて、なんだかこの世のものではない秘密めいた不確かさにどきどきしたことを覚えている。
それでなんとなく募集予告の端に表示されたIDをタッチすると、予想に反してAIではなく人の声が聞こえて驚いた。受付なんて真っ先にAIが人に代わった仕事なのに。
「この企画は私が立ち上げたので」
モニタの向こうの寺島と名乗る女性はそうはにかんだ。ボランティアといっても仕事は簡単で、ようはアイデア出しだ。どんなことをすれば盛り上がるか、そんなことを協議する。なんとなく面白そうで、参加することにした。
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