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えっ?
リビングの扉の前で立ち止まった私の耳に、楽しそうな2人の声が響く。
「部屋が見つかり次第、ここは引き払おうと思うんだ。今度はもう少し大きなマンションを借りて一緒に住もう」
「嬉しい!」
何? 何の話?
私をこんなに惨めな状態でほったらかしにしておいて、なんでぬけぬけとそんな話ができるの?
私は完全に怒りに支配された頭でこう思った。
「幸せになんかさせるもんですか! こうなったら、2人とも殺してやる」
私はキッチンに駆け込み彼がリンゴを剥いていた包丁を掴んだ……つもりだった。
包丁は私の手をすり抜ける。
「えっ?」
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