【2000字掌編】夢の懸け橋は、僕らを繋ぐ

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 携帯ラジオが梅雨入りを告げた日、駅前の大通りに色とりどりの傘が通り過ぎる。 パステルカラーにモノトーン、誰もが梅雨のコーディネイトを楽しむらしい。    けれど霧島は素っ気ない透明なビニール傘を、壊れるまで使うと決めている。『霧島彼方』と律義に名前まで書いてあるためか、なくなったこともない。  コンビニで昼飯を買った帰り道、穏やかな面立ちの青年は色のない傘の花を自分の上に開いた。  潤んだ雨の街を先導するように、青い光が瞬き始めた。  少し前まで、横断歩道の青信号が点滅するのは、霧島にとって『急げ』のサインだった。けれど、今は自然に足が竦む。『注意せよ』『この先危険』とシグナルが心を支配する。
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