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「このPOPがなかったら、私は小説なんて縁のない生活を送っていた。面白いよ、ワクワクするよって、店長が冒険に誘ってくれたから、今があるんです」
児童文学の小説家を目指してる。愛は、はにかみながら告白した。
「この書店にはずっと通ってたけど、大袈裟かなと思って言い出せなくて。バイトの募集を見た時、恩返しができると思って応募したんです」
「そうか……だとしたら、僕はちょっと格好悪いところを見せたかな」
夢に輝いた愛の眼差しに、霧島は居心地悪そうに頭を掻いた。
祖父から継いだ書店を大切に思うがゆえに、霧島は大胆な経営戦略で客足を伸ばした。確かに成功したが、同時に招かれざる客を呼んでしまった。
「僕がこうして頑張りすぎたせいで万引きが増えた……。夏休みを前にして不安になって、今まで一人で切り盛りしていた夜に、バイトを増やすことにしたわけだけど」
そんな説明を面接で採用が決まった時、愛にも話したのだった。
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