人狼ブラザーズ!

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「俺の分析だって100パー当たるわけじゃないしな。少しずつ自分の武器を磨いていけばいいさ。……明日、恐らく噛まれるのは暫定白のうちのどちらか。もしヒズミが噛まれたら……俺達にとって残る狐候補は、トッカータ、砂時計、ジョニー、Nの四人になる。餅とNを狼として決め打つなら、残る三人の誰かだ。誰だと思う?」 「……」  兄貴の言葉に、僕はもう一度ログを確認した。この三人はそれぞれがほどほどに発言しているし、大きな差はないように見える――が。  よくよく考えれば、トッカータとジョニーの二人は“占い予告”をしてほしい意図が透けて見えるのに対し、砂時計は一切触れていない。というか、よくよく見ればねずみねこに対して“噛まれることを恐れていない”と疑惑を擦りつけているようにも見える。狐は噛まれても死なない。そして、狐噛みと護衛グッジョブは見分けがつかない仕様だ。噛まれても怖くない、ように立ち回る狐がいてもおかしくはない――むしろそれは自分のことだったのではないか? 「……砂時計。明日は真っ先に、砂時計の狐要素を挙げてそこを占いたいって言う!それで勝負に賭ける!」 「おっけ!」  今度はバン!と勢いよく背中を叩かれた。僕は危うくデスクチェアから落ちそうになる。 「呪殺ができてないなら狼側も焦り出すはずだ。対抗占い師が本当に狼なら、真ムーブかました上で素直に吊りに応じる可能性もありうる。お前が次で呪殺を絶対に出す!という態度を取れば、明日吊ることに狼側も躊躇いが出るだろう。……大丈夫だ、迷ったり困ったりした時、俺がついてるんだからな!」 「もう、痛いよ兄貴い!」  自分達は、二人で一つのチーム。だからこそ、力を合わせてこの道を突き進むこともできるのだ。  夜が明け、三日目の昼。狼は餅の真目上げのためなのかヒズミを噛んだ。自分達は三日目の議論でどうにか真目を勝ち取り、餅を吊るすことに成功。三日目の夜に砂時計占いを発動し、見事呪殺を出すことになる。  配役は、まさに兄が予想した通りだった。  人狼世界大会、予選第一回戦――村人陣営の勝利。  まだ自分達はスタートから一歩踏み出したところにすぎない。僕と兄貴の人狼キングへの道は、まだ始まったばかりである。
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