人狼ブラザーズ!

7/8
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「それは……なんとなくわかる」 「一番重要なのは、ジョニーが占い予告を言い出した時だ。ジョニーの発言そのものはさほど問題がない、村ならごく自然なものだ。引っかかるのは、それまで黙っていた餅が即座に反応して“Nを占う”と言ったこと。その結果、お前はNを占えない状況になっただろ」  それは、思っていたことだ。投票で占い予告をした場合は意図せず被ることもあるが、発言で予告した場合はその限りではない。先に占い予告をすることには明確なメリットがある――対抗占い師に、その占い先を占わせない、というメリットだ。 「餅さんは、Nさんを庇ったってこと?ってことは同陣営だとはっきりわかる……餅さんとNさんで狼陣営の可能性が高いってことになるのか」  僕の言葉に、兄貴は頷いた。 「そうだ。狼二匹で片方を騙りに出すかは難しいところだが、狂人が必ずしも騙りに出てくれる保証がない以上、そして狂人が欠ける可能性がある以上一匹占い騙りに出すのも十分アリだろう。今回のように、多少強引に対抗の占いから庇うこともできるしな」 「理解。……でも、狐と狂人の位置はどうなる?」 「狂人は、多分ミリアリアだと俺は思っている。恐らく、騙りが得意な狂人ではなかったか、もしくは潜伏する方が得意なタイプの狂人だったんだろう」  狂人が必ずしも騙りに出るとは限らないのは、つまりそういうことである。特に占い狐入り配役の占い騙りほど難しい立ち回りはない。不得意だと思ったら、選択しない方がベターだ。 「ミリアリアは追従の発言ばかりだと咎められていた。にもかかわらず、“占い予告をツギクルもした方がいい”ということだけは妙にはっきりと発言している。お前が言う通り、二人とも予告するメリットは薄かったにも関わらず、だ。最初に“誰にする?”と問いかけてきたトッカータより怪しい。……お前に占い先を予告して貰った方が都合がいい、仲間に情報が残せると思った陣営。かつ、追従意見を増やして己の釣り稼ぎをする。……狂人だと考えたら全て辻褄があうだろう。明日の霊能結果でミリアリア白が出たら、俺はもうほぼ決め打っていいと思っている」  人狼ゲームに関して、自分もかなり上級者になったつもりだった。しかし、まだまだ冷静さと分析力では兄に勝てないのだと悟らされる。  ちょっとだけ僕はヘコんだ。偉そうなこと言って、僕の方が兄の足を引っ張っているだけなのではないか、と。 「そんなにしょげるなよ」  そんな僕に気づいたのか、好来は僕の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!