第六章 君と一緒なら

37/38
前へ
/192ページ
次へ
 「そっか。決まって良かったな。  ……俺たちも、家建てようか。玲奈の設計に矢野商会建築部の施工(せこう)でさ」  「直樹……」  直樹たちはいまだに賃貸マンションに住んでいる。遠くない未来に自分たちの家を持ちたかった。  家族で暮らす家。四人が自由に過ごす場所。  幼い時、当たり前のように存在した場所を、もう一度作りたいとずっと願っていた。  「いいの?」  直樹の両親のことを気にしていると分かった。首を振る。  「ああ、いいんだ。やっぱり一緒に暮らすのは無理だな。  今は何かあったら会いに行ける距離なんだから、変えるつもりない」  少し遠いくらいの距離感がいいと思う。そして、家族がリラックスできる場所を作るなら、玲奈と一緒に作りたかった。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

619人が本棚に入れています
本棚に追加