一章 1

9/10
前へ
/136ページ
次へ
「ちょっと頭痛薬飲むわ」 「えーだいじょーぶ?生理?」 「そのネタも昨日の暴露のせいでもうセクハラにしか聞こえないわ」 いや、別に佐藤ならなんかいいんだけど……アンタなら今までだってそうだったから許せるけど。 心配してくれてるのは、わかるし。 「あれ、じゃあ待って、アンタ月末に生理来るって話は……」 「生理とか無縁だしぃ?」 「クソが」 ヤバい、頭痛のせいか段々口が悪くなってきた、イライラする、本当に近々生理くるかも。 鞄からピルケースを取り出し緑色のカプセルを手に取ると、麦茶で流し込んで横に寝転んだ。 すると、ひんやりとした手が額に当てられる。 佐藤の手だ。 「このまま帰ってもいーんじゃない?」 「次のコマ……」 「睡眠不足だって立派なたいちょーふりょーだよ。まぁ、あーしのせいなんだけど。いや、二日酔いのせいとかもあるんじゃない?」 「サワー一杯で二日酔いになってたら酒なんて今まで飲んでない」 「だよねー」 ケラケラと笑う佐藤の手のひらが、額をゆるりと撫でて、瞼の上にその手が置かれる。 「あーしが責任取って紳士として守ったげるから、和香は寝てていーよ」
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加