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「俺の友達として蜜に紹介したって、絶対に裏切らないとは限らない、わかってる。俺と蜜は別の人間だから、わかってる」
「うん」
「それでも、俺が出来ることなんて、そんなことしか思いつかなかったんだ」
ねぇ、佐藤。
佐藤がそんなに悩んで悩んで、行動にまで移してくれたこと。
蜜ちゃんは今眠っているままで、そんなこと知りもしていないだろうけれど。
きっとそんな佐藤の作戦が失敗していたとしても、佐藤氷がいるだけでも、蜜ちゃんは報われるんじゃないかな。
一番近い人が、一番自分の為にって頑張ってくれてたんだから。
「きっと、大丈夫だよ、佐藤」
私は佐藤の握られた拳の上に、手を乗せる。
そんなことじゃ、慰めになんてならなくても。
それでも、佐藤の不安に思っている気持ちが、少しでも軽くなればいい。
全部は無理でも、半分は私も支えたい。
「誰よりも蜜ちゃんを想ってくれている佐藤がいるだけで……それだけでも十分だと思う、し。私だったら、嬉しいと、思う」
慰めの言葉なんて、知らない。
へたくそだ、人の気持ちに寄り添うなんて高等テクニック、私なんかが持ち合わせているはずがない。
それでも、伝えたい気持ちがある。
伝わって欲しい、想いがある。
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