三章 3

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「私はそんな蜜ちゃんが羨ましいと思う」 ……羨ましいってなんだ、別に妹になんて嫉妬してるわけじゃないぞ、なんて頭の中で逃げ道を探すも、うまく言葉にならない。 「和香は、蜜が羨ましい?」 「……だって、そんなに自分を想ってくれる人なんて、なかなかいない」 俯いてしまう私の耳には、その後の言葉が聴こえて来ず。 数秒経ってから、それに気付いて佐藤を見上げる。 「……?」 「想ってる奴、ここにいるよ」 ふわりと腰から背中に回される腕が、私を引き寄せる。 まって、なんで、急に……そんな雰囲気、だったっけ? 「のどか」 首に顔を埋めて擦り付ける、髪の毛がくすぐったくて体をきゅっと捻る。 「……な、なに」 「和香のこと。俺が誰よりも想ってる自信ある」 「え……いや、でも」 「だめ?」 「……っ」 見慣れない男の姿で媚びるように顔を覗き込んでくる佐藤に、こういう時ばっかり可愛く見せる所が恨めしい。 可愛く見えてしまう私の眼も、相当佐藤の色に染まっているんだろうけれど。
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