三章 3

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「はぁ……俺の和香の香り」 「こんなところで嗅ぐな変態っ」 「外じゃなきゃいいってこと?」 「どうしたらそう聴こえるの、違くてっ」 かと思ったら、急にがばっと体を起こした氷が、肩を掴んで私の眼を真っ直ぐと見つめる。 今度はなんだ、忙しいな。 「それって和香も俺のこと好きってこと?」 「……っ」 どうやら私は、なにか口を滑らせてしまったらしい。 なんて言ったっけ私……。 『私も、ほしい』 氷が……と、そんなことを口走っていたことを思い出して、むくむくと顔に熱が集まってくるのを感じる。 夕焼けのせい、夕焼けのせいだ。 「……ばか」 「和香?もっかい」 「は?…………ばか」 「違う、そっちじゃなくて!!和香の気持ち、もっかい聞きたい」 がっしりと肩を掴まれたまま、そんなことを要求される。 もっかいって……氷がほしいって、それを言えってこと? ここで?また? 「……っ、おしまい!今日はもうおしまいにするっ」 「なんで!?もっとイチャイチャしようよ!?」 ムリムリムリムリ、と私は首を横に振る。 この男と自分を向き合わせるというだけでも、相当な決意が必要だった。
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