終章

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ざわざわとした大学の食堂の四人席で、私はまたうとうとと船を漕いでいた。 昨日はよく眠れなかった。 ――いや、ただ眠れなかったわけじゃない。 と、額をピンと弾かれる指先に、少しだけ意識が覚醒する。 ──────ちょっと待って、このモノローグ、デジャヴなんだけど。 「今度はあんかけ焼きそばに顔面から突っ込む気ですかぁー?和香ちゃあん」 「デジャヴ」 「のどまた寝不足ー?」 「眠りたいなら食べ終わってから――って、これ前の時も言ったわ。今度は何?佐藤がなんかした?」 じっと見つめられる三人からの視線に、私は緩やかに首を横にふりふり、振った。 今回ばかりは彼だけのせいに出来ない。 彼女になったことにドキドキし過ぎて眠気が少しも湧かなかっただなんて……。 「アンタ昨日何してたのよ」 緑が彼に聞くけれど、やれやれのポーズをして私を向く。
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