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だって男版の佐藤氷に慣れていなかったから、私はドキドキしすぎて寝られないなんて状態になってしまっていたのだ、きっと。
それなら慣れる時間が必要なのではないか。
──そう思って提案したのに、氷は顔を固めたまま返事をしない。
「ひょう?」
「……誘ってる?」
「……誘っては、いる、けど」
「いや、ニュアンスが……誘惑が……」
どうやら誘惑と戦っているらしい彼に、私はハッと気付く。
そうか、もう友達の関係じゃないから、そういうことも…………。
私は再度、緊張した面持ちで口を開く。
「……ちょっと、なら……いいよ」
「………………それってどれくらい?」
どくどく、激しくなる鼓動、熱くなって求め始めてくる体に、私も、その、そろそろしたい、もので……。
「あ、の……」
「うん」
「……………………キス、なら」
「……わかった、今の覚えとけよ?」
そう、ちょっぴりなにかに怒っているような?彼を不思議に感じていたけれど。
私の部屋に着くなり、今日は深いグリーンのネイルをしていた指先で項を撫でられ、とびきり甘くて深い愛を、息苦しくなるほどに注いでくれたのだった。
「…………ぁ、まっ……、…………っふ……」
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